箸ぞうくんには「こだわり」があります。

お箸で食べること、
スプーンで食べること・・

 

「スプーン・フォーク」で食事するのと「お箸」で食事するのを比べてみてください。お蕎麦やうどんを、お豆やお漬物を、お刺身をスプーン・フォークで食べたいですか?でも簡単に使える「お箸」があればどうでしょう。食べる事が楽しくなります。

 
 

 箸の歴史は聖徳太子のころにさかのぼります。色々な文化や技術とともに中国から渡来しました。以来、箸は日本独自の素材・調理方法・器などとともに影響しあってきました。いわゆる日本の食文化です。ですから、スプーン・フォークで日々食事をする事は馴染まないのです。
 また、不思議なことに、スプーンから「箸ぞうくん」や「箸ノ助」などに変えられた方々に「体重増加」や「メンタル面での前向きさ」が見られることがあります。お箸で食事ができるため、メニューがスプーン食(いわゆる「刻み食」)である必要もなくなります。そのため、家族の方々と同じメニューの食事ができ、介護する方々の負担も軽減されます。

お箸で食べるうどん

「箸を使う」と言う動作を「持つ」「挟む」「コントロールする」と三つにわけ、それぞれの筋肉の動きを軽くする事で機能の劣った手でも簡単に箸が使えるようにしています。
 睡眠中の手のかたちで箸を持つ事ができるので後は指を「ニギニギ」と単純に動かせれば箸先は自然と合い、摘む事ができます。

お箸で食べるごはん

 例えば脳梗塞で入院した直後の手の指は動かないことがほとんどです。その時の指の形は睡眠中の力の入っていない形です。指の伸展筋と屈曲筋の力が釣り合っています。まず、「箸ぞうくん・箸ぞうくんクリア」はその手の形の中にすっぽりと納まるような形をしています。収まっていますので、「持つ」ということが軽減されます。

 体調が安定するとリハビリでタオルを握るような訓練をします。そしてわずかに動くようになると、この「ニギニギ」という動きで、ものが持てるようになります。この時点から「箸ぞうくんクリア」を持って食事できるかどうか試せます。指の一本一本が動かなくても全体的に動けばできます。指を動かす筋肉、神経は非常に複雑です。一本の指を複雑な方向性を持った複数の筋肉があっちからもこっちからも動いて指を動かしています。その複雑さを「箸ぞうくん」がカバーしているのです。ですから単純な指の動きで使えるようになっています。
 
 2本の箸をつなげるジョイント部分にはバネが入っていて、常に開く方向に働いています。ですから摘まむために力を入れるのは常に指を曲げる方向です。つまり摘まむ力をコントロールするのに曲げる方向だけでよいのです。バネが入っていないと、指を曲げたり伸ばしたりして力をコントロールしています。
 
 また、摘まむときに箸先を合わせなければならないのですが、このジョイント部分にズレを防ぐ構造が入っていますので、箸を閉じれば自動的に箸先が合うようになっています。また、製造時の最終検査でもこの箸先が合うということにこだわり続け、一本一本手にベテランが手に取って握り、動きが重くないかどうか検査し、箸先の上下の振れ幅が同じようになるように調整しています。最後の検査は人の感覚に頼っています。
 
 病気やマヒ・ケガ等あるいはそれらの後遺症によって普通の「お箸」がうまく使えなくなった方々は、残念ながらスプーンを持って、あるいは介助されて食事しているのが一般的です。
 しかし、そのような状態でも簡単に使える「お箸」があったらどうでしょう。今までと同じような「お箸」で食べる食生活が送れるのです。
 まして私たち日本人は、古来より「お箸」を使って食事をし、独自のすばらしい「食文化」を作ってきました。
 有限会社ウインドは1995年より、私たちが快適な食生活を送るうえで非常に大切なファクターとしての「お箸」を医師、理学・作業療法士、保健師、患者などの方々にもご協力いただいて研究開発しています。

このことが評価され、1997年「中小企業技術開発促進補助金交付企業」、2005年に「中小企業経営革新支援法企業」に指定され、現在「お箸」に関して多数の特許・実案、機能性を含むデザインに対して意匠登録を取得しており、また2年連続して優れたデザイン商品に送られる「グッドデザイン賞(Gマーク)」を受賞いたしました。 そして今では、開発商品は「お箸」だけにとどまらず、高齢の方々にもお使いいただける便利でユニークなユニバーサルデザイン商品にまで広がっています。

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箸ぞうくん・共通の特長

 

 年齢・シーンを問わず、症状の重い方から軽い方まで、「箸ぞうくん」のお箸作りは使いやすさで一貫しています。
ズレない、ブレない、手のわずかな動きに対応する。そして、どれも福祉・介護用品とは思えない流麗なフォルムを持っています。

 
使いやすさのポイント


普通の「箸」を使うときの手の動きを
①箸を持つ ②箸を動かす ③箸をコントロールする
と大きく3つに分け、これらを軽減したりなくしたりするように考えられています。
左右の箸をつなぐ構造は「箸先が常に合う」役目です。大きなものでも小さなものでも摘まんだ時に箸がクロスするのを防いでいます。
中にはバネが入っているので、常に箸が開くようになっています。ですから指は閉じるだけに力を使うので簡単です。
箸先内側は平面になっています。摘まんだ時により接触面積が広くなるようになって、ガッチリと放しません。

使いやすさのポイント


手の症状に合わせて、大きなグリップから、ほとんど普通のお箸と変わらないフォルムのお箸まで多様なタイプがあります。すべて「箸ぞうくん」の基本的な機能を持ち、「箸ぞうくん」特有の医学的にも理にかなった流麗なフォルムを纏います。
年齢、症状の重い・軽い、また使用する様々なシーンに合わせてお選びいただけるラインナップです。

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箸ぞうくん開発の
エピソード

 

「箸ぞうくん」の誕生には開発者が経験したエピソードがかかわっています。開発者の想いがどのように育まれたのか、そのきっかけは?

 1994年10月1日、父親の鋳造工場の2代目として働いていた現在の(有)ウインド社長の中川が、工場の集塵機についているミキサーに右手を巻き込まれました。先生方の手術のおかげで何とか指はつながりましたが動きません。腱移植もしましたが僅かに動くようになっただけです。右手でしたので何をするにも不自由です。箸を左手で使わなければなりません。季節も冬になって行きますので鍋料理の回数も増えます。困ったことに中川はこれが大好きなのです・・・・・(続きはPDFでお読みください)